地域医療日誌

変化しつづける地域でともに悩み、考える医療

進行がんでは点滴にこだわらない

 

 先日の記事 論理より事実 - 地域医療日誌 につづきます。

質問

 がんが進行して食事があまりとれなくなっていますので、点滴をお願いします。

 

 これはよくあるご質問(ご要望)です。終末期のエビデンスについて、確認してみましょう。

 この質問への回答となるような研究がありますので、ご紹介します。

ランダム化比較試験(Bruera, 2013年) *1

研究の概要

 進行がん患者に水分補給目的の皮下輸液(生理食塩水1000mL/日)を行うと、プラセボ皮下輸液(生理食塩水100mL/日)に比べて、脱水に関する4症状(倦怠感、ミオクローヌス、鎮静状態、幻覚)は改善するか、を検討した、治療に関するランダム化比較試験。

 4症状はスコア化して0点(最高)から40点(最悪)で評価。

 

主な結果

 129人を2群にランダム割り付けされ、1次アウトカムは皮下輸液群 49人、プラセボ群 51人で検討。

 治療4日目での4症状スコア(前後比較)は、皮下輸液群 - 3.3(95%信頼区間 -1.1, -5.4)、プラセボ群 -2.8(95%信頼区間 -0.2, -5.3)とほぼ同等であった。

 生存期間(中央値)については、皮下輸液群 21日、プラセボ群 15日同等であった。

 

症状も生存日数も変わらず

 治療4日目での症状スコア40点のうち0.5点差と、皮下輸液はしてもしなくても症状はほぼ同等だった、という結果でした。

 また、1次アウトカムではありませんが、生存期間では6日の差となっています。これは各群の中央値となりますので、生存曲線でみるとほぼ同等で、有意差もありませんでした。

結果の概要をまとめてみた

 この研究結果の概要を簡単にまとめてみました *2

f:id:cometlog:20180818192548p:plain

 

 少なくとも、進行がんのために食事がとれなくなったとき、点滴をしなければならないと思い悩むことはありません。

 どちらでもあまり変わりないのですから。

 

*1:Bruera E, Hui D, Dalal S, Torres-Vigil I, Trumble J, Roosth J, Krauter S, Strickland C, Unger K, Palmer JL, Allo J, Frisbee-Hume S, Tarleton K. Parenteral hydration in patients with advanced cancer: a multicenter, double-blind, placebo-controlled randomized trial. J Clin Oncol. 2013 Jan 1;31(1):111-8. doi: 10.1200/JCO.2012.44.6518. Epub 2012 Nov 19. PubMed PMID: 23169523; PubMed Central PMCID: PMC3530688.

*2:結果のまとめを手書きで作りたいのですが、なかなかきれいにできません。いい方法をご存じないでしょうか・・・?

 Copyright © 2003, 2007-2018 地域医療ジャーナル