地域医療日誌

新しい医療のカタチ、考えます

日本の生命表から

 

 今年も平成25年の簡易生命表の概況 *1 が厚生労働省から発表されています。

 昨年も同様の記事 *2 を書いておりますが、この時期、毎年恒例の記事となりつつあります。

 

2つの生命表

 

 厚生労働省が発表する日本の生命表には2種類あります。完全生命表簡易生命表です。

 

 完全生命表は、国勢調査による日本人人口(確定数)や人口動態統計(確定数)をもとに、5年ごとに作成されているものです。現在の最新版は第21回(平成22年のもの) *3 となっています。

 簡易生命表は、推計人口による日本人人口や人口動態統計月報年計(概数)をもとに毎年作成されているものです。こちらは毎年公表されています。

 

 簡易生命表は推計人口から概数を算出したものであり、完全生命表は生命表の確定版という性格になっています。

 

 今回発表されたのは、簡易生命表ということになります。厚生労働省の生命表のページから引用いたします。

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 簡易生命表は、10月1日現在の推計人口で算出しているようですね。

 

 さて、平成25年の簡易生命表です。まずは前置きの引用から。

 平成 25 年簡易生命表は、日本にいる日本人について、平成 25 年1年間の死亡状況が今後変化しないと仮定したときに、各年齢の人が1年以内に死亡する確率や平均してあと何年生きられるかという期待値などを死亡率や平均余命などの指標(生命関数)によって表したものである。
 これらの指標は、男女別に各年齢の人口と死亡数を基にして計算されており、その値は現実の我が国の年齢構成には左右されず、死亡状況のみを表している。  

 

 平均余命や平均寿命(=0歳の平均余命)にはしばしば誤解があるようです。

 平均余命は1年間の死亡状況から算出した期待値にすぎません。死亡状況を反映しているだけで、現状の年齢構成などは反映されない値となっています。ご注意ください。

 

男もついに80歳へ

 

 引用つづきます。

 平成 25 年簡易生命表によると、男の平均寿命は 80.21 年、女の平均寿命は 86.61 年と前年と比較して男は 0.27 年、女は 0.20 年上回った。

 平均寿命が延びたのは、性・年齢別にみた死亡状況の改善によるものである。これを死因別にみると、悪性新生物、心疾患(高血圧性を除く、以下同じ)、脳血管疾患及び肺炎の死亡状況の改善が大きい。

 

 今年も平均寿命がさらにのび、男はついに80歳代に突入しています。がん、心疾患、脳血管疾患による死亡の減少が、平均寿命ののびに寄与しているようです。

 やはり、がん、心疾患、脳血管疾患による死亡は減っているのです。

 

完全生命表からわかること

 

 第21回完全生命表には、興味深いグラフがついています。一部のみ紹介のため引用しますが、ぜひPDFをのぞいてみてください。

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 年齢別の死亡率の推移が対数グラフで示されています。こちらは男のものです。

 このグラフから、年齢別の死亡率はおよそ、

  • 37歳で0.1%(1000人に1人)
  • 62歳で1%(100人に1人)
  • 85歳で10%(10人に1人)

という推移になるようです。

 女ではそれぞれ順に43歳、72歳、90歳となっています。死亡率1%の到達年齢が10歳も違っていることに注目です。

 

 また、10万人の出生児が生命表上の年齢別死亡率にしたがって死亡していくとした場合の死亡数をみると、男では85歳(3,997人)、女では91歳(4,772人)でピークを迎えた後、急速に減少しています。

 

 生命表で日本人のいろいろな姿が見えてきます。これからも活用していきたいと思います。

 

日本の生命表から

生命表には5年毎に公表される完全生命表と毎年公表される簡易生命表がある。

平均寿命は男 80.21年、女 86.61年となった。

男 62歳、女 72歳で死亡率が1%を超える。

死亡数は男 85歳、女 91歳がピークとなっている。

 

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