衝撃的な論文が発表されました。
牛乳を飲んで骨は強くなるのか?という疑問を検証するのが、この研究の発端と思われますが、意外な展開になっています。
スウェーデンで行われた2つのコホート研究の結果が示されています。
コホート研究(Michaëlsson, 2014年) *1
- P▶ コホート研究に参加した女性(39-74歳)または男性(45-79歳)について
- E▶ 牛乳または乳製品の摂取量が多いと
- C▶ 牛乳または乳製品の摂取量が少ないよりも
- O▶ 骨折や総死亡は少ないか
- T▶ 予後、コホート研究
《結果》※※
女性61,433人、男性45,339人が対象。
女性は平均20.1年の追跡期間中、15,541人が死亡、17,252人が骨折。
男性は平均11.2年の追跡期間中、10,112人が死亡、5066人が骨折。
‡ Adjusted for age, body mass index, height, total energy intake, total alcohol intake, healthy dietary pattern, calcium and vitamin D supplementation, ever use of cortisone, educational level, living alone, physical activity level estimated as metabolic equivalents, smoking status, and Charlson’s comorbidity index; and in women additionally for use of oestrogen replacement therapy and nulliparity.
(結果より抜粋して作図)
牛乳や乳製品を多く摂取しても、男女ともに骨折は少なくならない、ということが示されています。
また、牛乳や乳製品を多く摂取する人のほうが、総死亡が多くなっています。特に女性においては、600g/日以上摂取する人は、200g/日未満の人に比べて2.2倍総死亡が多いという結果となっています。
コホート研究であり、交絡の可能性はありえます。解釈には注意が必要です。しかし、牛乳を飲んでもらう大規模な介入研究というのはちょっと難しいような気もします。今後の議論の行方に注目です。
牛乳が骨を強くする、というのはもはや迷信なのでしょう。健康だと思って摂取していたものが、実は多くなると健康には有害かもしれません。
過ぎたるは及ばざるがごとし、ということでしょうか。少なくとも、牛乳に対する過信はつつしみたいものです。
*1:Michaëlsson K, Wolk A, Langenskiöld S, Basu S, Warensjö Lemming E, Melhus H, Byberg L. Milk intake and risk of mortality and fractures in women and men: cohort studies. BMJ. 2014 Oct 28;349:g6015. doi: 10.1136/bmj.g6015. PubMed PMID: 25352269.