地域医療日誌

変化しつづける地域でともに悩み、考える医療

【返信】家庭医のほうが退院後の予後がいい

 

f:id:cometlog:20180505140546j:plain
 

コメントに答えて

 ぼくの先日のブログ記事 家庭医のほうが退院後の予後がいい - 地域医療日誌 にコメントいただき、ほんとにありがとうございます!(コメントはここでは引用しませんので、記事のあとのコメント欄をご参照ください。)

 多少反響を期待して書いたところもありますが、ページビューをみると実際にある程度反響があったようなのと、コメントまでいただいたので、ここはお返事を記事にしてみようと思います。

 

外的妥当性について

 ご指摘の点、日本の実情ではどうかという点については、まさしくごもっとなご指摘だと思います。

 論文結果をどう適用するかは「外的妥当性」の問題と呼ばれています。

 この点について、ぼくの意見は本文中にも述べましたが、引用しておきます。

 実際には外来でもずっと診療していて、入院しても主治医になる、という仕組みが、無床診療所では難しいという制約もあります。開放病床などを利用するのか、有床診療所や総合診療外来をもつ病院、ということになるでしょうか。

 ぼくの診療環境はそのようになっていませんが、改革すべきなんでしょうね。ちょっと考えてみたいです。

家庭医のほうが退院後の予後がいい - 地域医療日誌

 

 医療環境のちがいは無視できません。日本でこの研究の追試をしようとしても、なかなかできないでしょう。家庭医で入院診療もしているという医師は少ないからです。

 結果をこのまま適用できない以上、結果をどう受け止めるのかという解釈に幅がでてきて当然です。そんな差はないでしょう、日本の実情とはちがう、というのもひとつの意見かと思います。

 

 いずれにせよ、日本で、それぞれの現場で、どうするのか話題にしてみてはどうか、というところまでがぼくの提案です。

 ぼくは入院診療をしていませんので、この結果をぼくの診療環境でどう生かすのか、これからじっくり考えていきたいとは思っています。

 

家庭医が軽症ではなかった

 さて、それではこの論文ではどんな患者を対象としていたのでしょうか。

2013年にメディケア(高齢者の公的医療保険サービス)を利用して上位20の診断名で入院した患者のうち、

家庭医のほうが退院後の予後がいい - 地域医療日誌

 

  これが対象です。本文ではこのように記載されています。

To identify a relatively homogeneous population,we restricted our population to patients admitted for the 20 most common medical diagnosis related groups (DRGs) (including related DRGs for conditions without complications, with complications, or with major complications).

  

 合併症なし、合併症あり、重篤な合併症を含むとあります。

 頻度の高い入院病名のみではありますが、重症患者を含む対象者での検討、ということになっています。

 本文にはその診断名については記載されていませんでした。

 重症も含んだ結果である、ということまでは、この論文結果から言えることだと思います。

 

 また、診断については感度分析までなされております。

In sensitivity analyses, the complexity of the admission (acuity of the DRG) and patient disease burden (HCC scores) largely did not modify the association of generalist type and resource use, the likelihood of discharging patients home, readmission, or mortality.

 

 論文からは、複雑さや病気の重さには大きな差がなかったと書かれています。

 ご指摘のように、当然、家庭医以外の診る患者は相対的に重症だ、とする科学的根拠は、この論文からはちょっと拾えませんでした。(どこかに記載がありますか?)

 

 これから反論論文が出版されるでしょうか。注目したいと思います。

 Copyright © 2003, 2007-2018 地域医療ジャーナル