地域医療日誌

新しい医療のカタチ、考えます

帯状疱疹には抗ウイルス薬は必要ですか?

 帯状疱疹の痛みは自然に治りますか? つづき記事です。

 

 前回、帯状疱疹の痛みはほとんどが自然に治癒する、というコホート研究を紹介しました。

 それでは、帯状疱疹の治療によく使われる抗ウイルス薬には、どのような効果があるのでしょうか?

 

神経痛は少なくならず、副作用がある

 

 コクランのメタ分析が2014年に更新されていました。質の高い研究はこのメタ分析で網羅されているはずです。

メタ分析(Chen, 2014年)*1

  • P▶ 帯状疱疹発症後72時間以内の患者に
  • E▶ 抗ヘルペスウイルス薬を投与すると
  • C▶ プラセボに比べて
  • O▶ 帯状疱疹後神経痛は少ないか
  • T▶ 治療、メタ分析

《結果》※※※

 6つのランダム化比較試験の統合(1211人)

帯状疱疹発症4か月後の神経痛(アシクロビルのみ)

 相対危険 0.75(95%信頼区間 0.51~1.11)

帯状疱疹発症6か月後の神経痛(アシクロビルのみ)

 相対危険 1.05(95%信頼区間 0.87~1.27)

 

 残念ながら、抗ウイルス薬を投与しても、帯状疱疹後神経痛は少なくなっているかどうか定かではない、という結果となっています。

 さらには、副作用があります。アシクロビルには嘔気嘔吐、下痢、頭痛などがみられます。

 

 少なくとも帯状疱疹に全例投与するというような価値はなさそうですが、どのような場合に使用するのか、もう少し研究が必要かもしれません。

 

帯状疱疹には抗ウイルス薬は必要ですか?

  • 帯状疱疹後神経痛のほとんどは自然に治癒する。
  • 抗ウイルス薬を投与しても6か月後の神経痛はプラセボとほぼ同等で、副作用が多くなる。
  • 抗ウイルス薬をどのような場合に使用すべきか、さらなる検討が必要。

 

*1:Chen N, Li Q, Yang J, Zhou M, Zhou D, He L. Antiviral treatment for preventing postherpetic neuralgia. Cochrane Database Syst Rev. 2014 Feb 6;2:CD006866. doi: 10.1002/14651858.CD006866.pub3. PubMed PMID: 24500927.(抄録)

 Copyright © 2003, 2007-2021 地域医療ジャーナル