「思いやり」という不思議な力
地域医療ジャーナル 2017年6月号を発行しました。会員制のウェブジャーナルですが、記事も充実しておりますので、ぜひ読者登録の上、お読みいただければと思います。
告知記事・報告記事もあり、過去最高の掲載本数でした。これからもさらなるコンテンツの充実に努めていきたいと考えております。どうぞよろしくお願いします。
「思いやり」というコトバには不思議な力があります。
人のため善かれと思って行動していることが、実態はそのようになっていない、ということはしばしば経験することです。「思いやり」というコトバによって、よくないことが覆い隠されてしまうのです。この不思議な力を「魔力」と表現してみました。
思いやり、やさしさ、安心のため、そのように提供されているサービスが、その人のためになっていないとしたら・・・。
エビデンスという切り口から「医療の負の側面」について、企画中の特集記事(詳細は未公表)にて今後取り上げていきたいと思っております。
プラセボ群の予後
ぼくは「かぜの研究」の連載をしていますが、今回は、プラセボの予後という観点で書いてみました。ぜひどうぞ。
ふりかえってみると、プラセボの予後について過去にいくつか記事を書いたことがあります。
エビデンスからわかることは、決して治療の効果だけではありません。治療しなかったとき(プラセボ群)の未来についても、貴重な情報が得られるのです。
こうした情報を「不安を煽る脅し」としてではなく、「安心材料」として活用することはできるはずです。
かぜの大部分は1週間で治ります。薬を使ったとしたら、まれですが重篤な副作用がおこることもあります。
無益な治療を避けるためには、適切なエビデンスを知る必要があります。それも、薬を使った場合のエビデンスだけではなく、薬を使わなかった場合のエビデンスについてもです。その両者を知らなければ、適切な判断ができるはずがありません。
薬をもらえることが「思いやり」なのか、薬をもらえないことが「思いやり」なのか。
医療の構造について、さらに探求していきたいと思います。