事実と意見のはざまで
地域医療ジャーナル 2018年8月号を発行しました。
2018年7月号と8月号は、地域医療ジャーナルのひとつの転換点、一里塚になったと思っております。この場をお借りして、記者のみなさまに感謝申し上げます。
外部とつながるコトバで
ふりかえってみると、発端となったのはこちらの記事あたりから。最近のことなのに記憶があやふやで・・・。
医療ブログはむずかしいと言われます。しかし、医療者ではない人へ向けた文章を書くのなら、外部とつながるコトバで伝えていく必要があります。
これは単に医療の専門用語の問題ではありません。 医療が冷たく感じられるのは、「冷酷なエビデンス」や科学的思考のせいではなく、外部とつながることのないコトバのせいかもしれません。
開かれた医療を目指すのなら、情報発信から見直す必要があります。
医療の外側につながるコトバを - 地域医療日誌
このことをオンラインコミュニティ「地域医療編集室」の「地域医療ジャーナル運営チーム」へぶつけてみました。
地域医療ジャーナル全体についてですが、最近ちょっと難しいかなあと思っていて、このままの路線でよいのか迷いがあります。
地域医療ジャーナルは当初、医療の専門家向けのサービスではなく、一般の人を視野に入れたサービスを目指していました。結果的に現在の読者層はおそらく医療者が多いのではないか(読者の属性は登録されておらずわかりませんが)と考えておりますが、やはりもともと興味のあった人だけが購読してくれているように思われます。
現在の読者層に届くようにしていくのは一策とは思いますが、医療者向けの学術媒体はすでに多数あり、地域医療ジャーナルが医療者向けの情報発信をする価値があるとは思いません。
もう少し医療者から外へ開かれたものにしていくにはどうしたらよいか、を考えたいと思っているのですが、医療者ではない人にとっては難しいのではないかと思っているというところです。エビデンスも、もうちょっと人々に伝わる表現に歩み寄ってはどうか、と思うわけです。ランダム化比較試験とか、出てくるだけで読まないですよね、きっと。
ここがコミュニティの強みですが、このあと「地域医療ジャーナル運営チーム」からたくさんの貴重なご意見をいただき、議論が進みました。興味のある方は、地域医療編集室 へどうぞ。
この議論から、外部へ接続するための「わかりやすさの原点回帰」をめざした2つの連載がはじまりました。今月号からの新連載「ねこでも読める医学論文」、そして先月号からはじまった「医療情報を読み解くための国語ゼミ」です。
ここを起点として、新たな取り組みにつなげていきたいと考えております。
患者からの情報を受けとめる
医療者と非医療者 *1 の相互理解 *2 には、医療者から情報発信だけではなく、非医療者からの情報を医療者が受けとめることも必要でしょう。
こうしたことは、医療者があまり真剣にやってこなかったような気がします。これも地域医療編集室「小さな出来事」プロジェクトで取り組んでみようかと思います。
興味のある方、一緒にやってみませんか?(宣伝になってしまう・・・)