コレステロールの話題、さらにつづきます。
これまでの研究でわかったこと
日本人では、総コレステロール値が高くても総死亡はあまり多くならず、総コレステロール値が低いと総死亡が多くなる(実数では多い)という傾向がみられることがわかりました。
心臓病にかかったことのない日本人はもともと総死亡や心血管死亡のリスクが低かった、ということがわかります。
それでは、こういったリスクの低い人に対する脂質異常症の治療効果の意義は、一体どれほどのものなのでしょうか?
脂質異常症の一次予防についての代表的な研究を追ってみましょう。
低リスクでも下げると心臓病は少ないが・・・
ランダム化比較試験 WOS(Shepherd, 1995年) *1
研究の概要
心筋梗塞の既往がない脂質異常症の男性にプラバスタチン 40 mg/日を投与すると、プラセボの投与に比べて冠動脈疾患死亡+非致死性心筋梗塞は少ないかを検討した、治療(一次予防)に関するランダム化比較試験。
主な結果
対象は45~64歳の男性、6595人(プラバスタチン群 3293人、プラセボ群 3302人)。平均総コレステロール 272mg/dL。追跡期間平均4.9年。
冠動脈疾患死亡+非致死性心筋梗塞は、プラバスタチン群 174/3302人(5.5%)、プラセボ群 248/3293人(7.9%)、相対危険減少 31%(95%信頼区間17, 43)とプラバスタチン群で少ない。
プラバスタチンで31%少ない
この海外の研究は心筋梗塞をおこしたことのない男性が対象となっております。
プラバスタチン(商品名 メバロチンなど)1日40mg(国内では10-20mg)を服用すると、プラセボ群に比べて、冠動脈疾患による死亡と発症をあわせた人数が31%少なかった、という結果です。
約5年で7.9%と5.5%という差ですから、なかなか大きな効果がみられているように思えます。
それでは、日本人の研究ではどうなっているでしょうか。比較してみたいと思います。
まだまだ、つづきます。
*1:Shepherd J, Cobbe SM, Ford I, et al. Prevention of coronary heart disease with pravastatin in men with hypercholesterolemia. West of Scotland Coronary Prevention Study Group. N Engl J Med. 1995 Nov 16;333(20):1301-7. PubMed PMID: 7566020.