地域医療日誌

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睡眠薬を服用している人は喘息発作が3割多い

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質問

 喘息もちですが、睡眠薬って安全ですか?

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英国のコホート研究データから

 ベンゾジアゼピン系の情報検索をしているときに、偶然、興味深い研究をひとつ見つけましたので、ご紹介します。

症例対象研究(Nakafero, 2015年) *1  

研究の概要

 英国のClinical Practice Research Datalink (CPRD) に登録された患者のうち、ベンゾジアゼピン系薬やゾピクロンを服用することは、気管支喘息発作と医師に診断される予後因子となるかを検討した、予後(または害)に関するコホート研究データを用いた症例対照研究。

主な結果

 データ不備などを除いた131,642人が対象。対照 105,747人、症例 25,895人。57.25%が女性、30.56%が18歳未満、19.67%が喘息発作の既往あり(そのうち8%が重症)。

 ベンゾジアゼピン系は15.74%に服用歴あり。

ベンゾジアゼピン系
 服用歴なし:対照 90156人(85.26%)、症例 20761人(80.17%)
 服用歴あり:対照 15591人(14.74%)、症例 5134人(19.83%) 
 調整オッズ比(Model 2*21.29 (95%信頼区間 1.23–1.35)
 服用歴ありのうち現在服用中については、調整オッズ比 1.49 (95%信頼区間1.15–1.93)

ゾピクロン
 服用歴なし:対照 99401人(94.00%)、症例 23662人(91.38%)
 服用歴あり:対照 6346人(6.00%)、症例 2233人(8.62%)
 調整オッズ比(Model 2) 1.28 (95%信頼区間 1.21-1.36)
 服用歴ありのうち現在服用中については、調整オッズ比 1.59 (95%信頼区間 1.37–1.85)

 

 CPRDは英国の家庭医療データベースです。以前、抗不安薬や睡眠薬で早死しますか? - 地域医療日誌 でも紹介したことがあります。かなりのデータが蓄積されています。

 詳細はウェブサイトをどうぞ。

Clinical Practice Research Datalink - CPRD

 

喘息発作が3割多い 

 ベンゾジアゼピン系とゾピクロンはいずれも服用歴ありでは、喘息発作が多くみられています。

 作用機序としては、ベンゾジアゼピンが作用する肺胞上皮のGABAA 受容体には、粘液分泌を増やす作用があり、それが関与している可能性があるとのことです。

 

ベンゾジアゼピンで喘息死亡が多い

 さらに、この研究では喘息死亡についても検討されています。

喘息発作後の総死亡、調整ハザード比(Model 2)

ベンゾジアゼピン系
服用歴あり 1.32 (95%信頼区間 1.08–1.61)
現在服用中 2.78 (95%信頼区間 1.26–6.12)

ゾピクロン
服用歴あり 1.16 (95%信頼区間 0.88–1.51)
現在服用中 1.58 (95%信頼区間 0.98–2.54)

 

 このように、喘息発作後の総死亡を検討すると、ベンゾジアゼピン系で2倍以上多くなっているようです。

 

 

*1:Nakafero G, Sanders RD, Nguyen-Van-Tam JS, Myles PR. Association between benzodiazepine use and exacerbations and mortality in patients with asthma: a matched case-control and survival analysis using the United Kingdom Clinical Practice Research Datalink. Pharmacoepidemiol Drug Saf. 2015 Aug;24(8):793-802. doi: 10.1002/pds.3799. Epub 2015 May 27. PubMed PMID: 26013409.

*2:*adjusted for age, sex and general practice (matching variables); Model 1 adjusted for age, sex, general practice, Charlson’s comorbidity index score, sleep disorders, stress, anxiety, depression, psychosis, opioids, alcohol, current smoking, body mass index and multiple deprivation score; Model 2: Model 1 covariates, beta 2 agonists, statins and corticosteroids.

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