地域医療日誌

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助成金バイアスについて

 
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 以前取り上げた「助成金バイアス」について、2017年のコクランメタ分析が発表されていますので、ついでに確認しておきましょう。

 このメタ分析が行われる背景について、abstructから引用しておきます。

BACKGROUND: Clinical research affecting how doctors practice medicine is increasingly sponsored by companies that make drugs and medical devices. Previous systematic reviews have found that pharmaceutical-industry sponsored studies are more often favorable to the sponsor's product compared with studies with other sources of sponsorship. A similar association between sponsorship and outcomes have been found for device studies, but the body of evidence is not as strong as for sponsorship of drug studies. 

 

 薬の研究は製薬企業からの資金提供があると結果が良くなりやすい、というシステマティックレビューがすでに存在しています。今回は最近の研究を加えたメタ分析の更新という位置づけとなっているようです。

 それでは見ていきましょう。

メタ分析(Lundh, 2017年) *1

研究の概要

 企業から資金提供のある研究は、そうではない研究に比べて、薬や医療機器のスポンサー企業に有利な結果や結論が出やすいのかを検討した、治療の臨床研究に関するメタ分析(横断研究、コホート研究などの観察研究を含む)。

 

主な結果

 75研究(臨床試験58、観察研究2、その両者15)の結果を統合。企業以外からの資金提供が25研究、企業からの資金提供が2研究、両者からの資金提供が1研究、資金提供なし17研究、資金源の報告なし30研究。

効果で有利な結果が出ている研究(25研究、2923人)
 スポンサーなし 502/1000
 スポンサーあり 638/1000(95%信頼区間 588, 688)
 リスク比 1.27(95%信頼区間 1.17, 1.37)

害で有利な結果が出ている研究(4研究、826人)
 スポンサーなし 474/1000
 スポンサーあり 649/1000(95%信頼区間 303, 1388)
 リスク比 1.37(95%信頼区間 0.64, 2.93)

結論で有利な結果が出ている研究(29研究、4583人)
 スポンサーなし 644/1000
 スポンサーあり 863/1000(95%信頼区間 766, 972)
 リスク比 1.34(95%信頼区間 1.19, 1.51)

 

スポンサーに3割増有利な結果が出る

 薬の効果や研究の結論については、スポンサー企業に有利な結果が出ていることが明らかとなっています。

 およそ3割増ということになるでしょう。

 さらに、結果と結論の不一致も資金提供のある研究のほうが多くなっていました。

 

研究の質では評価できていない

 このメタ分析では"risk of bias"も評価しています。再度、abstructから引用します。

Comparing industry and non-industry sponsored studies, we did not find a difference in risk of bias from sequence generation, allocation concealment, follow-up and selective outcome reporting. However, industry sponsored studies more often had low risk of bias from blinding, RR: 1.25 (95% CI: 1.05 to 1.50) (13 papers), compared with non-industry
sponsored studies. In industry sponsored studies, there was less agreement between the results and the conclusions than in non-industry sponsored studies, RR: 0.83 (95% CI: 0.70 to 0.98) (six papers).

Authors’ conclusions
Sponsorship of drug and device studies by the manufacturing company leads to more favorable efficacy results and conclusions than sponsorship by other sources. Our analyses suggest the existence of an industry bias that cannot be explained by standard ’Risk of bias’ assessments.

 

 スポンサーの有無と"risk of bias"(研究の質)には差がみられませんでした。このことから、研究の質を確認していても、助成金バイアスは見逃す可能性がある、と著者は指摘しています。

 なるほど、重要な視点ですね。

 これからは、研究の資金源についても、確認しておきたいと思います。

 

*1:Lundh A, Lexchin J, Mintzes B, Schroll JB, Bero L. Industry sponsorship and research outcome. Cochrane Database Syst Rev. 2017 Feb 16;2:MR000033. doi:10.1002/14651858.MR000033.pub3. Review. PubMed PMID: 28207928.

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