地域医療日誌

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かぜに抗菌薬が処方されなくなっている?

 
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 かぜに対して抗菌薬の効果があまり期待できないことは、このブログの読者のみなさまはすでにご存知かと思います。

 今回はそのエビデンスに触れることはしませんが、詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。

かぜに抗菌薬を処方してはならない / 地域医療ジャーナル

CMEC かぜや急性化膿性鼻炎には抗菌薬を飲んだほうがよいですか?


かぜや急性化膿性鼻炎には抗菌薬を飲んだほうがよいですか?

 

特定の抗菌薬使用量を2020年までに半減

 先日、第91回日本感染症学会と第65回日本化学療法学会学術集会の合同学会が開催されたようですが、その紹介記事が日経メディカルに掲載されていました *1

 その中に、気になる部分がありましたので、一部引用しながら取り上げておきます。 

 厚生労働省の塩崎恭久大臣は4月8日、第91回日本感染症学会総会・学術講演会と第64回日本化学療法学会学術集会の合同学会(4/6~8日、開催地:新宿区)で、薬剤耐性(AMR)の国内における現状と、今後に向けた取り組みについて講演した。塩崎大臣は日本のAMR対策が世界で遅れを取っている状況を説明し、AMR対策を推進することの必要性を訴えた。  

 

 抗菌薬の適正使用は問題になっていましたので、大臣が本腰を上げられたことは評価できます。

G7でAMR対策アクションプランを作成していないのは日本だけだったことから、急ぎ政府はAMR対策アクションプラン策定に取りかかった。そして、国内で特に処方の多い経口セファロスポリン、フルオロキノロン経抗菌薬、マクロライド系抗菌薬の使用量を2020年までに半減させることなどを目標としたプランがまとめられた。  

 

 どのような方法を採られるかは、今後の課題と言えましょう。目標と活動計画をまとめられたことは、大きな前進です。

 

抗菌薬はすでに現場では使われてない?

 気になるのはここからです。

 同シンポジウムでは中浜医院の中浜力氏も登壇し、開業医の立場から抗菌薬使用の現状と課題について話した。中浜氏は、医師612名を対象に行った「風邪症候群」への抗菌薬使用状況のアンケート結果について報告した。  

 アンケート結果では、「風邪患者の0~10%未満に投与する」と回答した医師は60%で最も多いことが分かった。投与する薬剤はマクロライド系抗菌薬が35%と最多で、次いでペニシリン系が28%だった。投与理由としては「ウイルス性か細菌性かの鑑別に苦慮する」との回答が35%で1位であったが、「患者の希望」も17%と多く2位になっていた。  

 また、抗菌薬の処方を希望する患者の割合は全体で28.4%に上り、「患者に説明しても納得しない場合は抗菌薬を処方する」と回答した医師は56%だった。耐性菌の増加については、60%の医師が「大いに関係する」とその関係性を認め、「幾分関係する」を含めると92%の医師が適正投与の必要性について理解を示していることが分かった。  

 これらの結果から中浜氏は、「国民や患者への抗菌薬適正使用の啓蒙、教育は最優先である」と話し、「多くの臨床医は抗菌薬の適正使用について理解、受諾しているため、今後AMR対策アクションプランを実施すれば早期からの効果が期待できる」とまとめた。

 

 んーどうでしょうか。

 開業医を含めて現場ではまだかなり抗菌薬が濫用されていますが、この調査結果は現場の感覚とはかなり乖離している印象を持ちます。

 少なくとも、日本の現状を代表していないデータのように思われます。

 

 このアンケート結果は論文化されているのでしょうか? 残念ながら、記事には引用文献は記載されていませんでした。(信頼性の低い記事と判定されます。)

 

他の調査では40-60%、過半数が第3世代セフェム 

 思わずツイッターでつぶやいたところ、薬剤師の青島さんからお返事が。お忙しいところ、ありがとうございました。

 

 その後のやりとりを、モーメントでまとめておきました。ぜひこちらもご覧ください。

twitter.com

 

 抗菌薬の実態調査の論文はいくつかありそうです。調査時期によっても結果が異なるのかもしれません。確認しておきたいと思います。

 

 ぼくの連載「かぜの研究」はウェブマガジン「地域医療ジャーナル」に毎月掲載されています。このテーマもいずれ取り扱いたいと思います。

cmj.publishers.fm

 

*1:古川湧. NEWS 学会トピック:第91回日本感染症学会・第65回日本化学療法学会学術集会 塩崎大臣が感染症学会・化学療法学会で意見. 日経メディカル 2017/4/10 http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201704/550908.html?n_cid=nbpnmo_twed

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