地域医療日誌

変化しつづける地域でともに悩み、考える医療

フェルラ酸は認知症に効くか?

スポンサーリンク

 

 フェルラ酸が認知症に効果がありそうだという噂があるようなので、根拠を調査してみました。

 

 フェルラ酸は、フリーラジカルや慢性炎症、アルツハイマー病の病理学的特徴であるアミロイドβタンパクの脳への蓄積を抑える効果があるとされています。

 

 PubMed Clinical Queriesへ行き、"ferulic acid" (Therapy/Broad)で検索 *1 すると359件ヒット。"dementia"を追加して検索すると、10件のみに絞られました。

f:id:cometlog:20140906101829p:plain

 

 

 フィルターでヒトの研究に限定すると、3件になってしまいます。フェルラ酸の研究、少ないですね。

f:id:cometlog:20140906101858p:plain

 

 

 このうち効果を検証したと思われる研究は1件のみでした。それも、前後比較研究で、日本人のものです。

 

 うーん。対照をおかない前後比較研究では、投与してみてどうだった、ということが記述されているだけで、効果そのものの検証はできていない、と考えるべきでしょう。結果を概要のみ示します。

前後比較研究(Kimura, 2011年)  *2

 前頭側頭葉変性症またはレビー小体型認知症の患者20人に対して、フェルラ酸を1日3.0g投与し、投与前と4週間後の症状の変化をNeuropsychiatric Inventory *3 を用いて検討した。

 結果は、投与前では平均28.3(標準偏差 9.6)、投与4週間後では平均17.7(標準偏差 9.7)と投与後でスコアが有意に低くなっていた。特に有害事象はみられなかった。

 

 フェルラ酸の投与後に、Neuropsychiatric Inventoryのスコアが10.6点低くなっていた、ということが わかるのみです。

 

 質の高い研究は他にはないようでした。効果があるかどうかについては、さらなる基本的検討が必要という段階でしょう。

 

フェルラ酸は認知症に効くか?

  • 認知症に対してフェルラ酸を投与した、対照をおかない前後比較研究がひとつあるのみ。
  • フェルラ酸が認知症に効果があるかどうかは、十分な検討がまだなされていない。

 

*1:Therapy/Narrowでは絞られすぎになります。

*2:Kimura T, Hayashida H, Murata M, Takamatsu J. Effect of ferulic acid and Angelica archangelica extract on behavioral and psychological symptoms of dementia in frontotemporal lobar degeneration and dementia with Lewy bodies. Geriatr Gerontol Int. 2011 Jul;11(3):309-14. doi: 10.1111/j.1447-0594.2010.00687.x. Epub 2011 Jan 28. PubMed PMID: 21272180.

*3:1~120点、スコアが大きいほど重症

 Copyright © 2003, 2007-2017 地域医療ジャーナル