地域医療日誌

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夜間のこむらがえりにマグネシウム?

質問

 マグネシウムがこむらがえりに効果があるって本当ですか?

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 夜になると下肢におこるこむらがえり。つらいですよね。

 用語では nocturnal leg cramps です。日本では治療に漢方薬(芍薬甘草湯)が使われることが多いように思います。

 ある日、とある薬剤師から、マグネシウムが有効ではないか、と指摘されましたので、調べてみました。

 2014年にメタ分析があります。まずここから読んでみましょう。

マグネシウムでこむらがえり数はほぼ同等

メタ分析(Sebo, 2014年) *1

研究の概要

 夜間下肢こむらがえりのある妊婦または成人がマグネシウムを服用すると、その他の治療またはマグネシウムなしに比べて、こむらがえりが少なくなるかを検討した、ランダム化比較試験のメタ分析。

 

主な結果

 7研究(361人)の結果を統合。このうち3研究は対象者が妊婦のみ。

 1週間でのこむらがえり数(中央値)の群間差は0.345回(2.5パーセンタイル -0.1333、97.5パーセンタイル 0.875)。

 妊婦の3研究に限定すると、1週間のこむらがえり数(中央値)の群間差は0.807回(2.5パーセンタイル 0.015、97.5パーセンタイル 1.207)。

 副作用は消化管系がマグネシウム群でわずかに多かった。

 

妊婦には効果があるかも

 このメタ分析によれば、夜間こむらがえりに対するマグネシウムの効果は乏しい、との結果となるでしょう。3週間に1回程度の差は、効果ありとは言えないでしょう。

 ただし、妊婦さんに対しては、効果があるかもしれませんが、週1回少なくなるかならないか、という程度でしょう。

 

夜間下肢こむらがえりとは

 ここで論文内に書かれている診断基準を確認しておきましょう。

Diagnostic criteria for NLC as published by the American Academy of Sleep Medicine (2005) (1):
1. The painful sensation in the leg or foot is associated with sudden muscle hardness or tightness, indicating a strong muscle contraction.
2. The painful muscle contractions in the legs or feet occur during the sleep period, though they may arise from either wakefulness or sleep.
3. The pain is relieved by forceful stretching of the affected muscles, releasing the contraction.
4. The sleep-related leg cramps are not better explained by another current sleep disorder, medical or neurologic disorder, medication use or substance use disorder.

 

 アメリカ睡眠医学会の診断基準が引用されています。睡眠中に突然おこる下腿や足の有痛性筋収縮で、覚醒睡眠に関わらず起こることがあり、筋肉を伸展させると楽になるものです。

 さらに、原因が睡眠障害や神経疾患など、ほかの病態では説明できないもの、とあります。

 

 このメタ分析のあとに新しい論文が出ているようです。つづけて読んでみましょう。

つづく

マグネシウム、こむらがえりには効果なし - 地域医療日誌

*1:Sebo P, Cerutti B, Haller DM. Effect of magnesium therapy on nocturnal leg cramps: a systematic review of randomized controlled trials with meta-analysis using simulations. Fam Pract. 2014 Feb;31(1):7-19. doi: 10.1093/fampra/cmt065. Epub 2013 Nov 26. Review. PubMed PMID: 24280947.

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