地域医療日誌

変化しつづける地域でともに悩み、考える医療

日本の高齢者はさらに肥満の影響が小さかった

 

 

 BMIと総死亡の関係について検討した研究は多数あります。これまでここでもいくつかの論文を紹介しています。ちょっと整理しておきます。

メタ分析(Zheng, 2011年) *1 
BMI 25.1-27.5が死亡率最低 - 地域医療日誌 by COMET

メタ分析(Flegal, 2013年) *2 
肥満は本当に危険なのか? - 地域医療日誌

メタ分析(Global BMI Mortality Collaboration, 2016年) *3 
少しぽっちゃりでもいいですか? BMIは20-25が理想的 - 地域医療日誌

メタ分析(Aune, 2016年) *4 
BMI 20-27.5までは許容したい - 地域医療日誌

 

BMI 25までは同じ

 ここまでの論文から、ぼくの中での結論はこのようになっています。

ここ数年のコホート研究やそのメタ分析から、ちょうどよいBMIは 20-27.5 の間にあることは間違いないですが、22ではなく、それよりもやや25寄りのあたりにありそうだ、ということになるでしょうか。

BMI 20-27.5までは許容したい - 地域医療日誌

 

 ここまでのエビデンスを総括すると、おそらくBMI 25の小太りまでは総死亡をふやさないと考えられる、いわゆる許容ラインとなるのではないか、という印象です。

 体重の基準はゆるめでもいいんですね。

 

日本の高齢者のエビデンス

 日本の高齢者の研究がありますので、ご紹介しておきましょう。

コホート研究(Tamakoshi, 2010年) *5

研究の概要

 65-79歳の高齢者のうち、BMI 23.0以上の人は、BMI 22.0-22.9の人に比べて、総死亡が多くなるかを検討したコホート研究。

 

主な結果

 2万6千人が対象。総死亡の相対危険はBMI 22.0-22.9に比べて、男性ではBMI 23.0以上すべての群で少ない傾向がみられた。女性でもBMI 23.0-27.4, 25.5-29.9で少ない傾向がみられた。

f:id:cometlog:20180912101239p:plain

Adjusted for smoking, drinking, physical activity, sleep duration, stress, education, marital status, green vegetables, stroke, MI, cancer (includes unknown groups).

 

日本の高齢者でも小太りがよかった

 やはり、これまでの先行研究と同じ結果となっています。結果および95%信頼区間からもわかるように、BMI 30までは総死亡はほぼ横ばい(男性ではBMI 30以上でも総死亡が多くない!)。むしろBMI 20未満で危険、という結果となっています。

 いわゆる「し」のカーブです。

 交絡因子の調整はなされていますが、考慮されていない疾患などの影響を受けている可能性はもちろんあります。そのあたりの解釈に注意しながらも、それでも肥満が総死亡に与える影響はあまりないかもしれない、高齢者ではより小さくなっているかもしれない、と考えられるでしょう。

 日本人の研究のメタ分析があるようですので、そちらも確認しておきましょう。 

つづく 

*1:Zheng W, McLerran DF, Rolland B, et al. Association between body-mass index and risk of death in more than 1 million Asians. N Engl J Med. 2011 Feb 24;364(8):719-29. PubMed PMID: 21345101.

*2:Flegal KM, Kit BK, Orpana H, Graubard BI. Association of all-cause mortality with overweight and obesity using standard body mass index categories: a systematic review and meta-analysis. JAMA. 2013 Jan 2;309(1):71-82. doi: 10.1001/jama.2012.113905. Review. PubMed PMID: 23280227; PubMed Central PMCID: PMC4855514.

*3:Global BMI Mortality Collaboration, Di Angelantonio E, Bhupathiraju ShN, Wormser D, et al. Body-mass index and all-cause mortality: individual-participant-data meta-analysis of 239 prospective studies in four continents. Lancet. 2016 Aug 20;388(10046):776-86. doi: 10.1016/S0140-6736(16)30175-1. Epub 2016 Jul 13. PubMed PMID: 27423262; PubMed Central PMCID: PMC4995441.

*4:Aune D, Sen A, Prasad M, et al. BMI and all cause mortality: systematic review and non-linear dose-response meta-analysis of 230 cohort studies with 3.74 million deaths among 30.3 million participants. BMJ. 2016 May 4;353:i2156. doi: 10.1136/bmj.i2156. PubMed PMID: 27146380; PubMed Central PMCID: PMC4856854.

*5:Tamakoshi A, Yatsuya H, Lin Y, Tamakoshi K, Kondo T, Suzuki S, Yagyu K, Kikuchi S; JACC Study Group. BMI and all-cause mortality among Japanese older adults: findings from the Japan collaborative cohort study. Obesity (Silver Spring). 2010 Feb;18(2):362-9. doi: 10.1038/oby.2009.190. Epub 2009 Jun 18. PubMed PMID: 19543206.

 Copyright © 2003, 2007-2018 地域医療ジャーナル