地域医療日誌

変化しつづける地域でともに悩み、考える医療

健康診断にはやはり効果がなかった

 

 

 病気は早期発見、早期治療したほうがいいー健康診断の根拠としても、日本で長らく親しまれてきたこのスローガンは正しくなかったことが、最近の科学的検証によってあらためて明らかになっています。

 

健康診断で最終目的が達せられているか

 健康診断は心血管疾患やがんによる死亡、さらにはあらゆる原因による総死亡を少なくすることを目的に行われています。健康診断でそのような目的が達成されるのかを検討した研究は多数あります。

 

 ここで「病気が発見できるか?」ではないことに注意が必要です。

 ぼくらが知りたいのは、病気が発見された結果として「死亡が本当に予防できているのか?」という健康診断の最終目的が達成されているかどうかなのです。

 

 こうした研究のうち、一定の基準を満たした質の高い研究(ランダム化比較試験)だけを集め、健康診断の真の効果を検討した有名なメタ分析は2012年に発表されています。

 2019年1月、このメタ分析が新たな知見を加えて更新されましたので、今回ご紹介しておきたいと思います。

メタ分析(Krogsbøll, 2019年) *1

研究の概要

 健康な成人(65歳以上など高齢者のみの研究は除外)*2が、複数の疾患・リスク因子・臓器を対象としたスクリーニング検査を受けると、検査なしに比べて、総死亡や疾患特異的死亡は少なくなるか、を検討したランダム化比較試験のメタ分析。

 

主な結果

 17研究(251,891人)が基準に該当。いずれも研究の質は高い。健康診断を受けても受けなくても総死亡はリスク比は1.00(95%信頼区間 0.97, 1.03)と同等。がん死亡、心血管死亡についてもほぼ同等であった。

f:id:cometlog:20190224160726p:plain

 

健康診断は見直すべき

 このように、65歳未満の健康な成人が健康診断を受けても、がん死亡・心血管死亡ばかりではなく総死亡の予防にはならなかったということが、あらためて確認されました。

 さらに、冠動脈疾患や脳卒中の発症についても予防にはならないという結果となっています。

 それでは一体、何のために健康診断をやるのでしょうか?

 この論文著者らは、今後は健康診断の害についても検討したほうがよい、と主張しています。むしろ効果より害のほうが心配です。

 そろそろ、健康診断の意義を見直すべきではないでしょうか。

*1:Krogsbøll LT, Jørgensen KJ, Gøtzsche PC. General health checks in adults for reducing morbidity and mortality from disease. Cochrane Database Syst Rev. 2019 Jan 31;1:CD009009. doi: 10.1002/14651858.CD009009.pub3. Review. PubMed PMID: 30699470; PubMed Central PMCID: PMC6353639.

*2:対象者には65歳以上も含まれます。読者のご指摘により訂正しました。

 Copyright © 2003, 2007-2018 地域医療ジャーナル