地域医療日誌

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マグネシウム、量が多すぎませんか?

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 便秘にマグネシウム製剤がよく処方されています。

 市販薬に含まれていたり、サプリメントとしても売られていますから、知らずに服用している人もいるかもしれません。便秘にお悩みの方は多いですから、市場規模はかなり大きい薬ではないでしょうか。

 

血液検査していますか?

 ところで、マグネシウム製剤を服用しているみなさん。血液検査で血清マグネシウム濃度を測ってもらっていますか?

 気づかぬうちに、血清マグネシウム濃度が高くなっていることがあります。

 マグネシウム製剤を長期服用していながら、しばらく血液検査をしていない方は、医師にご相談ください。

 

高マグネシウム血症とは

 薬の添付文書には、このように書かれています。

重要な基本的注意 **

 本剤の投与により、高マグネシウム血症があらわれることがある。 特に、便秘症の患者では、腎機能が正常な場合や通常用量以下の投与であっても、重篤な転帰をたどる例が報告されているので、以下の点に留意すること。 (「副作用 重大な副作用」の項参照)
(1) 必要最小限の使用にとどめること。
(2) 長期投与又は高齢者へ投与する場合には定期的に血清マグネシウム濃度を測定するなど特に注意すること。
(3) 嘔吐、徐脈、筋力低下、傾眠等の症状があらわれた場合には、服用を中止し、直ちに受診するよう患者に指導すること。

 

 便秘、高齢者、長期投与では定期的に血液検査を行うなど、注意喚起されています。

 重大な副作用としてはこのように記載があります。

重大な副作用

高マグネシウム血症 (頻度不明)

本剤の投与により、高マグネシウム血症があらわれ、呼吸抑制、意識障害、不整脈、心停止に至ることがある。悪心・嘔吐、口渇、血圧低下、徐脈、皮膚潮紅、筋力低下、傾眠等の症状の発現に注意するとともに、血清マグネシウムの濃度の測定を行うなど十分な観察を行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。(処置法は「過量投与」の項参照)

(略)

高齢者への投与 **

高齢者では、高マグネシウム血症を起こし、重篤な転帰をたどる例が報告されているので、投与量を減量するとともに定期的に血清マグネシウム濃度を測定するなど観察を十 分に行い、慎重に投与すること。

 

 呼吸抑制、意識障害、不整脈、心停止などの報告があるようです。

 症状がみられた場合にはもちろんのこと、高齢者や高用量使用している人は定期的に血清マグネシウム濃度を測定して注意しておく必要がありそうです。

 

 UpToDate *1 の記載は、血清濃度ごとになっています。 

●Plasma magnesium concentration 4 to 6 mEq/L (4.8 to 7.2 mg/dL or 2 to 3 mmol/L) – Nausea, flushing, headache, lethargy, drowsiness, and diminished deep tendon reflexes.
●Plasma magnesium concentration 6 to 10 mEq/L (7.2 to 12 mg/dL or 3 to 5 mmol/L) – Somnolence, hypocalcemia, absent deep tendon reflexes, hypotension, bradycardia, and ECG changes.
●Plasma magnesium concentration above 10 mEq/L (12 mg/dL or 5 mmol/L) – Muscle paralysis leading to flaccid quadriplegia, apnea and respiratory failure, complete heart block, and cardiac arrest. In most cases, respiratory failure precedes cardiac collapse. 

 

 高齢者で330mg錠を1日3回服用していると、血清マグネシウム濃度が4mg/dLを超えていることはしばしばみかけます。

 嘔気、頭痛、傾眠傾向などの症状が、マグネシウム製剤の副作用かもしれません。万一過量となれば重篤な副作用もありえます。

 

 マグネシウム製剤を長期服用していながら、しばらく血液検査をしていない方は、医師にご相談ください。

 

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