地域医療日誌

変化しつづける地域でともに悩み、考える医療

中高年の日本人、BMI 21-30 の死亡リスクは低い

 

f:id:cometlog:20180913022333j:plain

 

 少し前の記事 BMI 20-27.5までは許容したい - 地域医療日誌 の続編です。

 さらに、日本人のエビデンスがあります。日本の7つのコホート研究を統合したメタ分析です。確認しておきましょう。

メタ分析(Sasazuki, 2011年) *1

研究の概要

 現在進行中の7つのコホート研究に参加している中高年の日本人では、BMI 25以上の過体重または肥満では、BMI 23以上25未満に比べて、総死亡・疾患特異的死亡は多くなるのかを検討した、コホート研究のメタ分析。

 

主な結果

  353,422人(男性 162,092人、女性191,330人)が対象。 平均12.5年の追跡期間で41,260人が死亡。

 総死亡のハザード比(男性/女性)*2は、

BMI 14-19 1.78/1.61
BMI 19-21 1.27/1.17
BMI 21-23 1.11/1.03
BMI 23-25 1.00/1.00
BMI 25-27 0.95/1.04
BMI 27-30 1.09/1.08
BMI 30-40 1.36/1.37

太字が統計学的有意差あり)

 総死亡・がん死亡では逆Jカーブ、心疾患死亡・脳血管疾患死亡ではUまたはJカーブとなっていた。

 

BMI 21-30は低リスク 

 結局、中高年の日本人では男性BMI 23-30、女性BMI 21-27における総死亡の統計学的有意差がみられず、リスクは低かったことがわかります。

 また、この結果は、これまで紹介してきた他の研究結果と矛盾しません。

 体重は、それほど気にすることでもなかったのです。

 

 この結果は、国立がん研究センターのウェブサイトでも紹介されています。

肥満指数(BMI)と死亡リスク | 現在までの成果 | 科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究 | 国立がん研究センター 社会と健康研究センター

 

BMIのリスクが与えるかもしれない深刻な影響

 肥満があまり総死亡に影響していなかった、ということになれば、気になることがひとつあります。

 過去の研究結果にも深刻な影響が生じないだろうか? という点です。

 臨床研究とくに観察研究においては、BMIが「既知のリスク」として調整因子となっていることが多いようです。もし、この「既知のリスク」が想定されていたものより低いとしたら、研究の結論自体が変わってくるかもしれないのです。

 ちょっと厄介な問題ですね。

 これを検証している研究者、いないでしょうかね。

 

(一部修正 2018-9-28)

*1:Sasazuki S, Inoue M, Tsuji I, Sugawara Y, Tamakoshi A, Matsuo K, Wakai K, Nagata C, Tanaka K, Mizoue T, Tsugane S; Research Group for the Development and Evaluation of Cancer Prevention Strategies in Japan. Body mass index and mortality from all causes and major causes in Japanese: results of a pooled analysis of 7 large-scale cohort studies. J Epidemiol. 2011;21(6):417-30. Epub 2011 Sep 10. PubMed PMID: 21908941; PubMed Central PMCID: PMC3899458.

*2:Adjusted for age (years, continuous), area (for JPHC-I, JPHC-II, and JACC only), cigarette smoking (never smoker, past smoker, current smoker of 1–19 cigarettes/day or ≥20 cigarettes/day), alcohol drinking (nondrinkers [never- or ex-drinker], occasional drinkers (less than once per week), regular drinkers (almost daily for OHSAKI and 3-pref AICHI; ≥5 days/week for JPHCI, JPHCII, and JACC; ≥5 times/week for MIYAGI; and ≥4–6 days/week for TAKAYAMA), history of hypertension (no, yes), history of diabetes (no, yes), and leisure-time sports or physical exercise (less than almost daily, almost daily).

 Copyright © 2003, 2007-2018 地域医療ジャーナル