地域医療日誌

変化しつづける地域でともに悩み、考える医療

認知症本人の情報発信

 

 

認知症になっても安心して暮らせる地域へ

「認知症なっても展」に参加しました。渋谷区長の長谷部 健さんが音頭をとり、渋谷区が新庁舎ではじめて開催したイベントです。

 認知症になっても安心して暮らせる街づくりを、「若者の街」渋谷から全国へ発信したい、という意気込み。未来の日本を見据えた、すてきな取り組みだと思います。

 渋谷区公式サイトはこちら。

www.city.shibuya.tokyo.jp

 各社報道から。

news.nifty.com

www.shibukei.com

 

認知症施策推進大綱が発表

 さて、このイベント開催中の2019年6月19日、認知症施策推進大綱が関係閣僚会議で決定されました。

共生と予防が柱

 認知症の人が暮らしやすい社会を目指す「共生」と、発症や進行を遅らせる「予防」が2本柱となっています。「共生」では普及啓発と本人発信支援、「予防」では予防法の確立に向けたデータ蓄積が提唱されたことは、特筆すべきことです。

もう医療には頼れないという宣言だった

 このうち「予防」については「認知症予防に関するエビデンスは未だ不十分である」とされ、現時点では認知症の治療だけではなく、予防についても限界があることが明記されました。

 もう医療には頼れない。認知症とどう共存していくか、地域は舵を切らざるをえない段階に突入しています。

認知症本人の発信を

 さて、「共生」の具体的施策については、第一歩を踏み出したばかり。残念ながら、がっかりするような内容の薄さでした。

 まあ、これからでしょう。

 この施策のなかで、認知症本人の発信支援が掲げられている点は、注目に値します。

 認知症だからという理由で、これまで十分に当事者の声を聞いてあげられなかった、というもどかしさがありました。こういった反省から、まずは当事者の発信を、という出発点に立ち返ったことは、評価できます。

 

認知症当事者の本

 病気の闘病記はよく目にしますが、認知症を発症した本人が書かれた本も出版されています。

 最近読んだ一冊の本 認知症になった私が伝えたいこと をご紹介します。一部抜粋します。

 認知症になって困ることは、まず収入がないこと。次に、行くところがないことです。(中略)何もすることがないのは、本当につらいものです。

 認知症の人の施設などでは、よく食堂でテレビがついたりしていますが、ごはんを残す人が多いのは、このためではないでしょうか。きっと、食べることに集中できないのです。

 ある講習会で「カレンダーに記録するのは三つだけ」というのを覚えました。

医師へ

 そして、本人がこれから前向きに生きていけるような言葉をかけてもらえたら、ありがたい。

 たとえ問題が解決されなくてもいいのです。私たちが求めているのは、医師が寄り添ってくれているという安心感なのですから。

 

 居場所がない、認知症特有の生活の困難さ、周囲の理解のなさについて、感じるところがあります。認知症の方との接し方にすぐに生かせることもあります。

 医療者や認知症に関わる人はぜひ、手にとってみられることをおすすめします。

認知症になった私が伝えたいこと

認知症になった私が伝えたいこと

 

 

  どうすれば、認知症の方にとってフレンドリーな地域をつくっていけるのでしょうか。よく考えながら、できることから少しずつ、前へ進めていきたいと思います。

 さらに、認知症フレンドリーな地域を追求していくことで、すべての高齢者にとってフレンドリー *1、さらに、すべての人にとってフレンドリーな地域についても、考えていけるのではないでしょうか。

 少しずつ。まずは足元から、取り組んでいきたいと思います。

 

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