地域医療日誌

変化しつづける地域でともに悩み、考える医療

関係は疎で多がよい

 

 

 本の紹介です。

その島のひとたちは、ひとの話をきかない――精神科医、「自殺希少地域」を行く――

 タイトルがひっかかり、気になっていた本でしたが、近所の本屋で目に留まりました。よかった。本屋さん、ありがとう。

 

 精神科医の著者が、自殺に関する研究や対策には「現場にいるひとたちにとっては何かが足らない気がしていた」と違和感を覚え、実際に自殺が少ない地域を旅してみたフィールドワークの記録と考察となっています。

 

 徳島県、神津島、青森県など、ぼくがゆかりのある地域も登場し、旅の場面や会話がイメージできるような気分に。

 それぞれの地域の住民が一旅行者とどのようにコミュニケーションをとっていたのか、その様子が観察記録として詳しく記述されています。

 

 自殺希少地域で観察されたこの住民とのやりとりから、自殺が少なくなる地域の特徴がいくつか抽出されています。

 これが、自殺を少なくするためということに限定せず、他人をどう助けるのかというケア全般に共通するヒントやエッセンスとなっていると思います。

 

 誰かが深く関わるよりも、関係は疎で多がよい、とか。

 見て見ぬふりはできず、解決するまで関わる、とか。

 それでいて、他人は変えられないことを受け入れている、とか。

 

 医療者はひとりで抱え込んでしまおうとしがちですが、いろんな人が関わって、違う意見も許容する、というほうが解決の近道だったりしますからね。

 肩の荷がおりたというか、まだまだやれることがあるかもしれません。

 医療者だけではなく、他人を助ける仕事をしている人にはぜひ、手に取ってみていただきたい本です。

 

その島のひとたちは、ひとの話をきかない――精神科医、「自殺希少地域」を行く――

その島のひとたちは、ひとの話をきかない――精神科医、「自殺希少地域」を行く――

 

 

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